頭痛

頭痛

頭痛の原因は様々であり、痛みの強さ、痛む部位、持続時間など、症状も人により異なります。中には、生命が脅かされるような危険な頭痛もあり、また治療法も異なってくるので、そのタイプを鑑別することは非常に重要です。 頭痛は大きく二つに分けられます。

・二次性頭痛

脳や体に病気があって起こる頭痛でクモ膜下出血、脳腫瘍、髄膜炎などがあります。特徴をひとことで言えば「いつもとちがう頭痛」で、命に関わる場合もあるため要注意です。この頭痛の場合は、速やかに脳神経外科や神経内科への受診が必要となります。その他、副鼻腔炎、緑内障、顎関節症も頭痛の原因となりますので、各専門医への受診をお勧め致します。

・一次性頭痛

「いわゆる頭痛持ちの頭痛」です。基礎疾患がなく慢性の経過をたどる頭痛で、頭痛全体の9割(3000万人)を占めます。一次性頭痛は3つのタイプがあります。

頭痛について

● 片頭痛

慢性頭痛の治療の中心となるのは、生活支障度が高い片頭痛です。心臓が脈打つようにズキンズキンと痛む拍動性の頭痛発作が、月に1回から数回起こり,緊張型頭痛と思われがちな肩こりも75%の片頭痛患者さんに認められます。また、片頭痛は、吐き気、光や音、臭いに敏感になるなどの頭痛以外の症状を伴い、階段の昇り降りなどの日常生活動作で痛みが増すため、発作時は部屋を暗くしてじっとしていたいという患者さんが多くいます。前兆のある片頭痛の場合、目の前が眩しくチカチカとして見えづらくなるという現象(閃輝暗点)を訴えることもあります。片頭痛の治療は、予防薬と頓挫薬(発作時に飲むお薬)の二本柱で治療します。片頭痛が長期化すると脳が過敏状態になり、この過敏性を鎮める薬や血管を拡げる薬を内服することで頭痛発作が起こりにくくなるように予防し、発作の頻度や強さを軽減するのが目的です。予防薬を内服しながら、頭痛発作に対して消炎鎮痛薬や特効薬のトリプタン製剤という頓挫薬で対応することで、速やかに発作を鎮静化します。

● 緊張型頭痛

頭の両側がギュ-ッと締めつけられるような頭痛が、数十分から数日間続きます。パソコン業務や前かがみの時間が長い仕事のように、長時間同じ姿勢を続けることで首や肩のコリを伴うことが多い頭痛です。ストレスや過労も原因となるため、1日のうちでは午後から夕方に症状が強く出るのが特徴です。パソコンに向かう時間が長い人は肩甲骨周囲をほぐすようなストレッチを行うことが大切です。治療は消炎鎮痛薬が多く使用されますが、長期連用による薬物乱用頭痛や胃腸障害の発症に注意が必要です。筋緊張が強い場合は筋緊張を緩和し血行を改善させる作用のある薬を内服すると効果的です。

● 薬物乱用頭痛

片頭痛あるいは緊張型頭痛の患者さんが、頭痛薬を頻繁に飲んで痛みを抑えることを繰り返していると、痛みに対し敏感になって頭痛薬が手放せなくなり、毎日のように頭痛が誘発されるようになります。この状態を薬物乱用頭痛といいます。薬の過剰服用が引き金となり、痛みの閾値が下がってしまうことが原因と考えられています。慢性関節リウマチや腰痛などの疾患に対して、長期に渡って大量の鎮痛薬を服用していてもこの頭痛が問題となることは極めて稀なことから、片頭痛や緊張型頭痛の病態そのものが発生要因に寄与している可能性があります。月に10回以上、3ヶ月続けて頭痛薬を服用していらっしゃる方は、一度 ご相談下さい。

● 群発頭痛

群発頭痛の症状は、「えぐられるような痛み」と表現されるような片側の目の奥に出現する激しい頭痛です。痛みは15分から2-3時間続き、その後自然に治まります。一旦起こり始めると、1〜2ヵ月間連日頭痛発作が続き(群発期)、このような痛みの発作は1〜2ヵ月過ぎると消失し(寛解期)、半年から2〜3年後に同じような痛みが起こります。夜間の発作が多く、発作期間中はアルコールを摂取すると痛みを誘発するという特徴もあります。さらに痛みと同側に涙が出る、目の充血、まぶたの垂れ下がり、鼻水・鼻づまりなどの症状をしばしば伴います。片頭痛が女性に多いのに対し、群発頭痛は20〜30歳代の男性に多くみられます。原因は解明されていませんが、頭部の血管が拡張して痛みが生じるという説が一般的に考えられています。急性期(発作期)治療は、一般の鎮痛剤はほとんど効果がなく、100%の酸素吸入と片頭痛の特効薬であるトリプタン製剤が唯一効果を発揮します。また、群発期はほぼ毎日痛みが非常に強いことから、片頭痛と同様に予防薬を使用します。

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