鎌田クリニック 内科・呼吸器科・アレルギー科
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感染性胃腸炎

1. 感染性胃腸炎ってなに?

ウイルスや細菌の感染が原因になって吐き気や嘔吐、下痢・腹痛などの急性の胃腸炎症状を引き起こす病気です。

2. 感染性胃腸炎の原因は?

かぜの菌 ウイルスによるものと細菌によるものに分かれます。今回は主にウイルス性胃腸炎についてお話します。
ウイルス性 : ロタウイルス、ノロウイルス、アデノウイルスなどで主に冬場に見られます。いわゆる「お腹にくる風邪」です。
細菌性 : サルモネラ、腸炎ビブリオ、カンピロバクター、病原性大腸菌などがあり主に夏場に見られます。「夏場の食中毒」の原因も多くはこれによるものです。

3. 感染性胃腸炎の症状は?

吐き気や嘔吐、下痢・腹痛などの急性胃腸炎症状を呈します。下痢は水様便などで時に血便を呈することもあります。この際特に注意しなければならないのは脱水症状です。下痢や嘔吐による水分喪失に加え、飲水が出来ず、また発熱による不感蒸泄の増加もあり、脱水は要注意です。特に老人や幼児の場合、自覚症状が出にくいこともあり、全身倦怠感の訴えやぐったりした時などは、脱水を考え早目に医療機関を受診することをおすすめします。また感染症の特徴としての発熱が見られることもあります。一般にウイルス性に比べて細菌性のものの方が症状は重篤です。またウイルス性のものでは上気道炎症状(咳や鼻水)を伴うこともあります。
嘔吐

4. ウイルス性胃腸炎の特徴は?

  1. ロタウイルス : 乳幼児に多く認められ、下痢便が白色になることもあります。
  2. ノロウイルス(以前はSRSV:小型球形ウイルスなどと呼ばれていました) : 乳幼児から成人まで幅広く見らます。
  3. 腸管アデノウイルス : 乳幼児に多く、夏場でも見られることがあります。症状としては比較的軽症の事が多い様です。

5. どのように伝染するの?

ロタウイルスは経口感染で、保育園などでの集団感染がみられます。ノロウイルスは食べ物(生カキやホタテ貝などの二枚貝やサラダ、汚染された飲料水など)や調理人の手などを介して感染し、成人でのウイルス性食中毒の原因の大半を占めます。最近では老人介護施設などでの集団発生もたびたび報道されています。ノロウイルス感染症では症状がなくなった後も2週間も糞便中にウイルスを放出し続けるとされ、周囲への感染は要注意です。このため家族も十分手洗いすることを心掛けてください。また細菌性では食品に付着、増殖した細菌により感染するものでヒトからヒトへの感染はウイルスよりも起きにくいとされています。 感染してから症状が出るまでの潜伏期間はウイルスで1〜3日、カンピロバクターを除く細菌では数時間〜十数時間で起きることが多いとされています。

6. どのように検査するの?  

ロタウイルウス、腸管アデノウイルスはウイルス検出キッドがあれば比較的短時間で検査できますが、その他のウイルスについてはウイルスの分離培養やウイルス抗体の測定などの方法もありますが長時間を要し、現実的ではありません。成人に多いウイルス性胃腸炎の原因であるノロウイルスも残念ながら迅速診断はできません。細菌では便の細菌培養が行われますが、これも数日間を要します。症状が強い場合は炎症の程度や脱水、電解質のバランスのくずれをみるため血液検査が行なわれる事もあります。

7. どのように治療するの?

ウイルス性胃腸炎にはインフルエンザなどと異なり有効な抗ウイルス薬がないので主に対症療法になります。細菌性は抗菌薬(抗生物質)の投与が有効です。 対症療法としては吐き気に対しては吐き気止め(ナウゼリンなど)が用いられます。下痢に対しては下痢止めを使っても治療期間は変わらないとの報告が多く、強い下痢止めは使わない方がよいでしょう。整腸剤である乳酸菌製剤(ビオフェルミン、ラックBなど)程度が望まれます。 ウイルス性では一般に3〜4日程度で症状は自然に寛解します。ただし老人や幼児などでは重篤化することもあり注意が必要です。

8.食事や飲水は?

食事については腹痛があるうちは絶食、そして脱水や体内の電解質(塩分やカリウム)のバランスのくずれの予防のためにミネラルの含まれるスポーツドリンク(ポカリスエットやアクエリアスなど)の少量ずつ頻回の補給が望まれます。この時冷蔵庫などで冷やさず、室温にしておく方が良いでしょう。また飲めずに吐いてしまう時には点滴での水分補給も必要です。柑橘類(ミカン、グレープフルーツなど)のジュースや炭酸ガス飲料、コーヒーなどは胃に対する刺激が強く、牛乳やミルクなどの乳製品は消化が悪いため両者とも避けた方が良いでしょう。
腹痛が改善し、下痢や吐き気が落ち着いてきたらおもゆや野菜スープ、すりおろしリンゴから始め、消化の良いおかゆやうどん、またヨーグ ルトや豆腐などが望まれます。食事の回数は1日5〜6回に分ける事により1回あたりの食事量をおさえて下さい。また食材は細かく切って、よく煮込んでやわらかくし、胃や腸に負担を掛けないようにして下さい。さらに脂肪の多い食事や菓子類、繊維質に富む野菜、キノコ、こんにゃく、海草は下痢を起こしやすいので避けて下さい。また腸管壁に刺激を与える香辛料、ニラやニンニクなどの刺激の強い野菜も避けて下さい。もちろんアルコール類も脱水を助長するので良くありません。

9. 予防は?

ウイルス性感染性胃腸炎ではほとんどの場合が患者さんとの接触や汚染された水・食品を介して経口的に感染します。このため日頃から手洗いの励行(特にトイレの後や調理の前)やうがいが望まれます。また家族に患者さんがいる場合には吐物や便の処理の際にはビニール手袋を使用し、汚物はビニール袋に入れて口をよく密閉して捨てて下さい。また汚染された可能性のあるものは次亜塩素酸ナトリウムで消毒する様にして下さい。

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